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Saurabh Katiyar

Saurabh Katiyar

Executive Director, MSCI Research

Yuliya Plyakha Ferenc

Yuliya Plyakha Ferenc

Vice President, MSCI Research

炭素効率型企業が追い風となるも、各種ESG指数はアンダーパフォーム

  • 2013年から2021年の大半の時期において、各種MSCI ACWI ESG指数はアウトパフォームしていますが、2022年の第3四半期累計期間はアンダーパフォームしています。
  • 各セクター内の炭素効率型企業への配分はパフォーマンスに寄与しましたが、継続的なESG不祥事を理由とするMSCI ACWI ESGリーダーズ指数からの除外がパフォーマンスの足を引っ張りました。
  • 第3四半期には、とりわけエネルギーや航空宇宙・防衛など、インダストリーファクターのパフォーマンス動向に大きな変化が表れました。その結果、インダストリーファクターの各種MSCI ACWI ESG指数への寄与度も低下しています。

以前の 調査では、各種MSCI ESG指数のレジリエンスについて調べました。下表は各種MSCI ACWI ESG指数に共通する調査期間内のパフォーマンスを示しており、MSCI ACWI指数の年間リターンがマイナスであった時期(2015年および2018年)も、各種MSCI ACWI ESG指数は相対的に健闘していました。世界市場がプラスリターンの時期も、各種MSCI ACWI ESG指数は総じてアウトパフォームしています。しかし、今年はMSCI ACWIと同様に、 旗艦MSCI ACWI ESG指数5本も苦戦しています。

 

ESG指数に関する過去のパフォーマンス

2022年9月30日までの期間を対象とする年間グロスリターン。期間が1年未満の場合は年内の累積リターンを算出しています。年初来リターンは、2021年12月30日から2022年9月30日までの期間を対象としています。Q3リターンは、2022年6月30日から2022年9月30日までの期間を対象としています。

 

ドル高と銘柄の除外が重石に

第3四半期には、金融市場の変動、金利の急騰、地政学的な混乱、米ドル高がニュースの見出しを飾りました。今年の上期と同様に、この経済情勢は第3四半期にもMSCI ACWI ESG指数5本の下押し要因となりましたが、各期間の基礎的要因はそれぞれ異なります。

先述の各指数は現在、米国のアクティブ配分が若干のマイナスであり、直近期のドル高はカレンシーファクターでマイナスの寄与度となりました(下表参照)。第3四半期にはESGファクターへの配分がプラスの寄与度となりませんでしたが、各セクター内の炭素効率型企業への配分は功を奏しました。しかし、銘柄固有の除外がアンダーパフォームに大きく寄与しました。

 

ファクター別アクティブパフォーマンス要因分析

2022年上期および第3四半期における各種MSCI ACWI ESG指数におけるアクティブファクター別のリターン属性。2021年12月31日から2022年6月30日までの第1四半期および第2四半期。2022年6月30日から2022年9月30日までの第3四半期。

 

銘柄除外の影響

第3四半期において、スペシフィックリターンの各種MSCI ACWI ESG指数へのリターン寄与度は大幅なマイナスであり、各セクター内の高格付けESG銘柄を組み入れるMSCI ACWI ESGリーダーズ指数でその影響は顕著でした。同リーダーズ指数は継続的なESG不祥事を理由に銘柄を除外しており、アンダーパフォームの大きな要因となりました。

2022年9月30日付で、MSCI ACWI指数の組み入れ上位4銘柄(Apple Inc.、Microsoft Corp.、Amazon.com Inc.、Alphabet Inc.)は同指数の12%超を占めており、MSCI ACWI ESGリーダーズ指数におけるスペシフィックリターン寄与のマイナス分の半分はこの除外で説明がつきます。1AppleとAmazonの両社は、顧客やガバナンス、 環境・人権に関する継続的な不祥事への関与を理由に、MSCI ACWI ESG指数から除外されました。MicrosoftやAlphabetのような企業は第2四半期中はMSCI ACWI ESGリーダーズ指数の構成銘柄でしたが、第3四半期中も継続してアンダーパフォームし、パフォーマンスの足を引っ張りました。

 

上位4構成銘柄のパフォーマンスおよび指数組み入れ状況

2022年6月30日から2022年9月30日までのデータ。

 

セクター配分の寄与度は小幅に

インダストリーファクターが大きくリターンに寄与した第1および第2四半期とは異なり、第3四半期はエネルギーや航空宇宙・防衛セクターを中心にその傾向が反転しました。

各種MSC ACWI ESG指数は、世界産業分類基準(GICS®)へのエクスポージャーが大きくならないように組成されており、過去のデータを見ても明確なアクティブインダストリーエクスポージャーには結び付いていません。2 今年の初めには、エネルギーセクターのリターンがESG指数のアクティブリターンに大きく寄与しましたが、第3四半期には様相が異なっています。下表は、MSCIグローバル株式ファクターモデル のインダストリーファクターとESGエクスポージャーを対象にパフォーマンスを図示したものです。

 

上位・下位のインダストリーファクターパフォーマンスおよびESGエクスポージャー

MSCIグローバル株式ファクターモデルを用いた上位および下位セクターにおけるファクター別パフォーマンス。2022年6月30日から2022年9月30日までの第3四半期。2021年12月31日から2022年6月30日までの第1四半期および第2四半期。すべてのエクスポージャーが経済的に意味のある差異を示しているわけではありません。-0.005から0.005までのエクスポージャーには中立を示す「°」が、0.005から0.075および-0.060から-0.005までのエクスポージャーにはそれぞれ「+」および「–」が付いています。

石油・ガスの探鉱/開発、石油・ガス、および消費型燃料のインダストリーファクターのパフォーマンスは第1および第2四半期にはプラスでしたが、第3四半期には大きなマイナスとなりました。航空宇宙・防衛ファクター、そして統合型の石油・ガス業界のインダストリーファクターパフォーマンスも、プラスからマイナスへ転じました。エネルギー集約消費型企業に影響を及ぼしたエネルギー価格の第2波が、その部分的な要因でしょう。このパフォーマンス推移を受けて、各種MSCI ACWI ESG指数におけるインダストリーファクター全体のアクティブパフォーマンスへの影響は、今年上期は大きな寄与度となったものの、第3四半期には軽微な水準となりました。

 

エネルギーセクターは下火?

エネルギーセクターにおけるアウトパフォームがパフォーマンスを下押しする度合いは、第3四半期には今年上期から低下しました。こうした中、各旗艦指数が今年をどのように終えるかは定かではありません。各種MSCI ACWI ESG指数は過去にレジリエンスを示してきましたが、第3四半期には、ドル高と特定の大型銘柄の除外がESG指数のアンダーパフォームに重くのしかかりました。それでもなお、各セクター内の炭素効率型企業への配分は引き続きパフォーマンスに寄与しました。

 

 

12012年11月20日から2022年6月30日にかけて、スペシフィックリターンのMSCI ACWI ESGリーダーズへの長期的な寄与度は-0.13%でした。

2GICSは、MSCIとスタンダード・アンド・プアーズが共同で開発した世界産業分類基準です。

 

 

その他の参考文献

エネルギーセクターがアウトパフォームしたものの、気候指数もレジリエンスを発揮

MSCI ESG Indexes Underperformed but Met ESG Objectives

Monthly Equity ESG Insights